Eno.133 殺崎礼仁

■ 8日目・4時

間抜けにも体力を尽かし動けなくなっていたところで、親切なボクサーの方……南波リスコさん……が持っていたグローブを枕代わりにと渡してくれた。
碌な返礼も出来なかったが、いずれ、……元の生活に戻ったあと、祝勝の花束と一緒に返そうと思う。

俺が倒れて動けなくなっていたのは、まあ、良いことだったのだろうと思う。
殺人鬼としての本能も、流石に自分が生きるのも怪しいような状態では仕事しないらしい。
こういうふうに生まれた己を恨んで、いっそ死んでしまおうかとか、これはいい機会なんじゃないかとか……いろいろ思ったものだけれど。
借りたものを返すまでは、そういうわけにもいかなくなった。どうにも、いつだって俺の思ったようにはならないらしい。

帰りの船が来れば、最後の力を振り絞ってそれに乗り込む。幸い、そうするだけの体力は快適な寝床のおかげで確保できそうだ。


Name : 殺崎礼仁
Race : 殺人鬼
Kill : 0