■ SUMMER'S DAY
結局、さいしょの便箋のとおりに船はやってきた。
出港までの少しのあいだ、やり残したことをして遊んだ。
みんなで写真を撮ったり。
ヘンなものを窯で焼いたり。
ボトルメッセージを流してみたり。
私は船には乗らない。
かわりに、作ったいかだを船に繋いでもらうことにした。
この島の海域を出たら、繋いだロープを切り離すだけ。
みんなはどこに帰るのかな。
ひとりって、こんなにさみしいんだ。
街からひとり、子どもが消えた日。
それから一年が経って、流刑も消えた日。
街の入り江に、たったひとりの人魚が帰ってくる。
「ねえ、一緒に世界の果てを見に行こう」
「わたしと、ふたりで」
無垢なる邪悪は巡り廻る。
また夏が始まって、終わっていく。
-『贖罪のインディゴ』 おわり-