Eno.192 パララスカ・ラトナプラ

■ 船上から

どうやら暑さに加え空腹と喉の渇きで目を回していたようだ。全く覚えがないけどね。
むしろ楽しい夢をみていたくらいだよ。
島で一緒になった彼らとお腹いっぱい魚を食べたり、物々交換をしたり。ボール投げ楽しかったな。そうだ可愛らしい人魚なんかも出てきたなあ。
空は晴れ、人魚は歌い。そんな砂浜で私は心地よい風に吹かれながらキラキラとした虹を見ていたっけ。

それでやけにすがすがしい気持ちで目を覚ませばそこは船の上だった。というわけだ。

そういえば誰かに声をかけられたような記憶があるね。
船に居るってことはきっと私を助けてくれたんだろう。あの声は…。チェイスくんかな?何かと気にかけてくれてたからね。面倒見がよさそうだった。
ううむ。カルブくんだった気もするな。拠点が大助かりで実は端っこを何度も借りたんだった。
ああ、いや、私の体を運ぶんなら2人がかりか…。
もしそうならばちゃんとお礼を言わないとならないな。ありがとう!
それと、「早く、帰れるといいですね」と言っていた彼にも声をかけたいな。帰れそうだよ!君も帰れそうかな?何か一期一会はあったかな?

さてはて、みな無事に船に乗れたんだろうか。

ふう、まだ耳がおかしいのかな?人魚の鳴き声が聞こえるよ。

そしてこの、私に似たぬいぐるみはどういった…。ふかふかと柔らかくて安心感があるね。

(目を覚ましてすぐに記録として書いたのだろう。そこまでは随分な走り書きだ。
その後の文章はだいぶあとで付け足したようだ。きっちりとした文字で書かれている。


さて、これでこの冒険はおしまい。
実に悠々楽々なバカンスだった。