■ No,xxx - 或る報告書
以下、シン・ミツキ――もとい、■■■/■■■共立■■■■■所属、非常勤■■■■■■No,xxx、■■■・■■■・■■■■■が記す。
xx月xx日、■■■■■家xxx代当主の護送任務の終わり、襲撃者による強制転移術式から護送対象を庇う。
結果――直後に確保された襲撃者の証言では■■修士国の領海(※1)に飛ばすつもりだったそうだが、何らかの事故により“異界の無人島”に漂着。
生存と脱出を目指し遭難生活を開始。
※1:<■■■>北方に位置する■■修士国の領海は暑季でも水温が低く、適応している現地民や低温種以外は遊泳に適さない。
奇しくも、漂着した島には其々の理由による遭難者が少なくなく、自然と協力体制が敷かれた。
最終的に7日間に渡る無人島生活は(時折物騒な話題になれど)取り立てて暴動が起こること無く、此方が認識している範囲で救助困難者は見当たらず。
此の島に総勢で何名漂着していたかは不明だが、生存率は高いと思われる。
8日目の朝、沖より近づく船を発見。
船員より話を聞き、生存者は無事に救助されることとなった。
今回の“異界”については別途資料に纏めるので、そちらを参照されたし。
船団により其々が其々の“世界”へ生還。
此方も御厚意により■■■■■正帝国南方の領海(※2)に転移、其処から無事に帰還、現状に至る。
※2:<■■■>南方に位置する為、無人島との気温差等を考慮して転移先に選び、快諾頂いた。
以上を以て、今回の報告とする。
――■■■共立■■■■■ ■■■■■■活動報告書 No,******_****
今回の騒動で漂流した“異界の無人島”。
其の“世界”は<ジーランティス(Xealantis)>と呼ばれているとのこと。
或いは――<絶海の世界>とも。
我々が知る<■■■>――所謂“地球”に似た性質を持ちながら、其の大半が海水で満たされており、大陸や文明等は現状存在しないとされる“世界”。
在るのは、我々が漂着したような島が点在している程度なのだ、と。
そんな<ジーランティス>は、“海”を通じて様々な“世界”と繋がる特性が在るという。
他界の“海”に属するものと不定期に“海続き”になることで、接続先の海を無作為に取り入れ、吐き出す。
其の結果、潮汐に似た海面の上昇下降が激しく、島の長期滞在が困難である主因らしい。
また、接続先の海に含まれる構造物や漂流物を取り入れてしまうことも珍しくなく、今回の様な集団遭難も此の性質が原因であろう。
であれば、やはり某シーエルフ氏(Eno.170 アルザス氏)の社会的タヒは今回ノーカンになると思われる。帰ったら頑張って証明しようね。
他界から見ても<ジーランティス>の環境や性質は特殊なものであり、漂着者の多くは過酷な環境に適応出来ず消耗が激しく、本来使える魔術や異能等の技術は機能しないことも珍しくないそうだ。
其の結果、“神隠し”めいた漂流者や漂着物が後を絶たず、救助活動を行う団体も多いらしい。
また同時に、未知や宝を求めてサルベージを繰り返す業者も少なくない、とも――
今回の漂流については、襲撃者の転移術式の指定先が“海”であった事による、一種の“接続事故”が発生した可能性が否定出来ない。
無論、転移術式自体は正常で、当時の領海が一時的に“接続”した結果である可能性もあるが……
何れにせよ、漂流先より持ち帰った物品の解析が急ぎ必要であろう。
そこから、再発の可能性が在るか、また予測できるかの検証を――