Eno.258 煙霧

■ 漂流日記の終わり

数日間ずっとあの姿になっていたため体中が悲鳴を上げている
釣りをしていた頃はまだ楽だったけど、魚が釣れなくなって魚突きをするようになってからは本当に辛かった。
水の中だからまともに動けないし、泳ぎにくいし、サメに噛みつかれるし
これだから水の中は苦手なんだ。
ただ、サメのおかげで食料には困らなかったのは幸いだったかもしれない。

この島では一緒になった漂流者が何人かいたけれど、共に島を出ることが出来なかった人が出てしまった。
一人は、大切なものの為に覚悟を決めて散り
もう一人は、多分そう願われたのだろう。あの観測者は僕の師匠のように概念に首突っ込んでる気がするから自分で死のうと思わない限りは、そう在り続けるんじゃないのかな。
最後に声を掛けようかと思ったのだけれど遺体を見つけられなかったのが心残りではある。

僕の願いを叶えて貰えるのならば、、、いやきっと思い描いた結果にはならないだろう
それぞれが抱く願いはその人の物だと信じている。他人に介入させず、綺麗な祈りのままで。