Eno.264 ヴェロキラプトルC

■ おしまい。

水遊びをしていたら波に煽られ流されついた謎の島。
ヘンな色彩のヘンな生き物たち、それと同房たちとの奇妙で愉快な漂流生活。
気ままに遊んで、助けたり、助けられたり。(助けられる方が多かったね。)楽しいことも大変なことも次から次へと、何日も何日も……そして最後にやってきたのは見たこともないヘンなモノ!みんなが船と呼ぶそれが元の場所や新しい場所へと連れて行ってくれるみたい。

船が島を出立してしばらくすれば、恐竜は船員さんにこれからどうするのか聞かれるのだろう。
広くて愉快でおいしい獲物や危険な敵がたくさん待っている、元の棲家にも帰りたい。
けれども、見たこともない生き物たちと遊んだり助け合って過ごした日々もとっても新鮮で、ワクワクする事ばかりだった。
元の世界に戻る前にもっと知らない世界に行ってみたい、もっと知らないモノを見てみたい、知らない生き物たちともっともっと遊びたい!
緑の恐竜は考えて考えて、最後にこう答えたんだって───

「ヴェローーーッ!!!」

それを聞いた船員さんはニッコリと笑って、船室へと戻っていった。
長く短い7日間を過ごした島が遠ざかっていくのをじっと眺めてから、恐竜は船が行く先、どこまでも広がる海に視界を向けた。
太陽が照りつけて輝く海の光を写して、その瞳は更にきらめいたんだってさ。

おしまい。