Eno.291 海賊

■ 大海賊バルディッシュ・バルバロッサ様の冒険記7




こうして俺は無事苦難を乗り越えて宝を手にし、
港で山ほどの金貨を得た。


めでたしめでたし――










「ってな具合だったら最高だったのによォ!」



「くっそォ、まさか最後の最後であんな邪魔が入るとはな。
 ガキやジジイの寝返りもそうだが、
 あのハゲまで出張って来やがるたァ。

 畜生、これだから……」





「これだから冒険ってのは面白ェ!」





--------------------------------------------------------------------------------


<賑やかな港町のメインロードから外れた所にある
 うらぶれた酒場の扉が乱暴に開かれる>


「おうオメェら、いつまで飲んだくれてやがる!

 さっさと支度しな!」





「何だバリー、もう終わったのかよ? “ご執筆”は」




「書き物なんざどうでも良いんだよ。

 海に出るぞ野郎ども!」

 



<バルディッシュのその言葉が酒場に響くと、
 昼間から酒の匂いをさせている酔いどれどもが
 ドカドカと立ち上がった>


「たく待たせやがって!」

「やっとかよ!」

「行き先はもう決まってんのか?」




「先日ゴールドマンの奴が面白ェ情報を寄越してな。

 奴の話によると、南の海に近頃怪物の出る海域があって
 通りかかる商船や海賊船が何度も襲われてるらしい。

 場所は――」




--------------------------------------------------------------------------------


t' be continued