Eno.443 ミライ ハルカゼ

■ 🐈️どこかの館郊外・いつかの未来🐈️

[一糸纏わぬ少女が、眺めている。]

…オカアサン。

[その瞳には、燃え盛る館の姿が映っていて。目尻から伝った一筋の光は、火の粉に交じって消えていく。]

ボクは……
いや、私は。
もう金輪際、貴方に関わることはない。
研究データも、成果物も、私の同意なく得られたそれは没収させて貰った。


[大事そうに抱えていた刺繍つきのパーカーに身体を通し、ポケットへと手を入れる。取り出したメモリーチップを晴れた空に翳して。]

貴方の研究は最低だったが、素晴らしいものだった。ともすれば、数多の命を救える、要人警護のスペシャリストを育成出来るような。
次は同意の得られる共同研究者が見つかることを祈っておくよ。


[ぱきっ。乾いた小さな音が響く。2つに折れたそれと小さな言の葉を火の中へ放って。少女は踵を返して歩き始めるだろう。]

……オカアサン、貴方が『生き返ること』が出来るならな。

[そうして、呪縛を解かれた銀猫は、伸びをして。悪戯っぽく笑う。]

さて、親愛なる『save』。
キミは覚えているかな。
私がとても負けず嫌いだと言うことを。次は必ず哭かせてやる…!


[一陣の風が、海へと向かって吹き抜けて行った。]