Eno.56 イリス・フィアレンツェ

■ 始まりの刻

此処は……



目を覚ましてまず視界にあったのは、一面の白だった。
次に気付いたのは照りつける日射しの暑さ。

……



ゆっくりと身体を起こして、自分は砂浜に倒れていたのだと理解する。
眼前に広がる澄んだ海は、地平線の彼方まで続いていた。

どういう事だ。私はあの時確かに――



嵐に飲まれたはずなのに。