Eno.88 テセウス

■ 無題-2

焚き火を作り、魚とイカを焼いて燃料にする事でようやくまともに有機燃料を補給できた。
だが正直なところ、素潜り漁をする必要性は薄いような気がしてきている。
はっきり言えばかなり疲れる上に実りがそう多くはないから、森できのみを探す方が手っ取り早いように思えてきた。大物が採れたら別なのだろうが。

野草を2種類摂取した。
・折れ曲がっている野草
何故か笑い者にされたような気がしてくる。
が、動く為の気力は戻ってきた。
・ハーブのような野草
機械に健康があるかどうかわからないが、生命体にとって健康そうな味がするらしい。
特に変化はないが、考えられるなら失った生きる気力でも回復するのかもしれない。要検証。

少しは立て直せたと思うが、持っていた水を使い切ってしまった。
いよいよ蒸留器に着手しなければならなくなったものの、焚き火をもう一つ作るのが面倒だ。
ひとまずもう少し木材を手に入れてから考えよう。

「…こうまとめると私、流れ着く前と特に変わらない動き方をしてるな」


「たった一体だけで動き、己が助かる事しか考えていない。そりゃ皆で協力した方が効率的なのは理解しているけど…」


「…こればっかりは身に染み付いちゃったものだからなあ」