Eno.166 佐藤羽理生

■ わけがわからない

海に行こうと言ったのは誰だっけ……

ビーチは人でごった返していた。
カップル、おっぱい、へそ、おしり、カップル、男の乳首、子連れ、家族、チャラい海の家、ゴミ、幸せの象徴。

僕たちはビーチへの進出はあきらめ、ニッチ生物よろしく人気のない場所を探した。

岩陰。

そうだ、僕は、岩場から落ちて……



今、また僕は砂浜にいる。

砂、砂、海、空、雲、森……
人だけがいない。
人だけが。

ほらどうだ、望んだ通りのビーチだろって、神様に言われている気がした。

だからって、ここまでのは望んでないよ。
僕はあのビーチでよかったんだ。