■ 少年の記憶──01(1DAY)
「……おはよ、──、───」
謎の島に漂流して初めての朝、ぱちっと少年の瞼が開く。
さらに数度ぱちぱちと瞬き。
またナニカとナニカを口走ったようだ。
でも、やっぱり聞き取れなかった。己の喉から発せられた音であるはずなのに。
軽く首を捻るが、すぐにやって来た欠伸が思考を霧散させてしまう。
まだこの不可思議な状況を理解しきれてはいない。
結局、ココは一体どこなのだろう。
少年の思考を巡らせる事柄は他にも色々あるのだ。
昨夜は、同じ境遇に陥っているであろう数名の人──おそらく"人"たちと合流ができた。
その中の白いワンピースの少女曰く、オレたちは『死んで天国へと至る途中で難破してしまった』らしい。
まさかの予想だにしていなかった突飛もない話が出てきたわけだ。
さすがのオレも思わず素っ頓狂な声をあげてしまったぞ。
だって船に乗った覚えはないし、ましてや死んだはずも、ない。
まだまだ未来はこれからの12歳だぞ。心身ともに至って健康体だ。
…………つまり、これは──
きっと夢だ!オレはおかしな夢をみてるんだな。そーだそーだ!
それならば、今の状況でも難なく受け入れてしまっている己の沈着具合も納得できるというものだ。
いや、まあ、アレだ。"カッコいい男"は常に冷静に物事を受け止めるべきだから当然なのだが。
何故か空腹や疲労感や痛みを感じているようだけれど、それも"すんごいリアルな夢"のなせる業なのだろう。
たぶんな。