Eno.283 トゥル

■ 渇きと疲労、そして鮫

初日、昼過ぎ

少女は漂着した浜辺へと戻り達成感に浸っていた
この短時間に一人で周囲の探索を終え食糧を確保し、住処となる小屋までも完成させたのだ。


現在の彼女の状況を数値で示すならば

92/LIFE 0/TIME 平常/STATE
5/STAMINA 57/HUNGRY 1/WATER

となる。


島中を駆け回った事もあるが、疲労の原因となった一番の理由は、仰向けで空を眺める少女の隣に横たわっている巨大な鮫だ。
内陸部の森林地帯で育った彼女にとってはとても新鮮な存在であり、浅瀬で戦えたおかげで辛勝できたというほどの強敵であった。

潮風に長く当たり喉もカラカラだが、手元の蒸留器を使う体力すら残っておらず
動けるようになるまではこうして横になりながら、直射日光を遮ってくれている自然の恵みから水滴の一つでも落ちてこない物かと空を見上げるばかりである