Eno.287 部族

■ 森の民の思案2

この土地を見て回っているが、やはりどこにも見知った精霊や村の姿は見当たらない。
ここにまつわる何もかもが見知らぬものであることを確認するにつれ、
自分の中にある考えが去来しはじめた。

ここはもしや自分が生まれ育った土地ではなく、
余所者たちの土地なのではないか?

あるいは精霊が人間と言う形を取らない、無人の土地なのでは?

だとすれば祖霊の居ないこの土地で
自分は精霊の加護を受けることはできるのだろうか。

精霊よ、私に怒りを抱いているのならどうかその御心を鎮めてくれ。