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■ 命は削るもの

 
 この極限状態はあの島でも味わえないな、と思う。
 私は今はじめてお腹が空くという感覚を知った、ので。

 思えば、食糧や飲み水不足で困ったことは一度もなかった。
 ただ殺意があった。
 でもその殺意だってどうにでもなるものだった。
 同じ参加者だもの生き残るだけなら、私さえ頑張れていればあの子だけは

 …自然に対してはどうだろう?
 勝手にお腹が空くこの体はいったい何なんだろう。
 私は、叶うなら何も食べたくない。
 私が食べる分を他の誰かに食べてほしい。
 でも食べないと困らせる?飲み水を作れるのは貴重?…誰かに託せば解決では?

 せめて、飲むことも食べることも必要最低限でいよう。