Eno.103 逢樽 颯

■ █月█日から、流されて。

その日は高校生活はじめての夏休み真っ最中で。
海沿いに住んでるじーちゃんに誘われて釣船に乗ったのさ。

ああ、じーちゃんは釣りが大好きでね。きっと一人が寂しかったんだろう、仲間に引き込んでやろうと子供の頃から私もわからないまま川へ海へと連れられてたんだ。今じゃすっかり趣味として数えられるくらいには育ってしまった!

とまあ、そこらへんは置いといて。
天気は良かった。お互いに釣果もそれまでは悪くなかった。



ただ……私の引っ掛けた"大物"はクジラかウミボウズかリヴァイアサンか何かだったんだろうね。

釣竿を引こうにも波は大荒れ、船は大揺れ!
何処かへしがみつこうにも私の体は大空へ!

そこを大波に浚われて。


気付けばこんな状況って訳さ。

ああ、じーちゃん達大丈夫かなあ。