Eno.406 謎の美少女A

■ 無題

島の探索中に漂着者らしき人と会った。
名前はローレンツカ。一見すると人間と変わりないけれど、所々機械のパーツが覗いていて——義体などでなければ、最新型のガイノイドか何かだろうか。

少し話をしたが、礼儀正しくて印象の良い子だった。魑魅魍魎ではなく彼女がこの島にいたのは掛け値無しの幸運と言える。他にも彼女のように話の通じる相手がいるなら、どうにか協力して救助が来るまで耐えられる……かも、しれない。

漂着物とおぼしきボールペンを拾えたのは運が良かったが、今は精神の安定を図る前に食糧と水の供給を安定させなければ飢え死にしかねない。実際に飢えと渇きで倒れそうになった。

クーラーの効いた部屋と安藤の淹れた紅茶が無性に恋しい気分だ。この際御園の淹れた茶でもいい。冷えた麦茶でも水でも、思い切り飲み干して喉を潤したい。