Eno.127 苺坂みるく

■ あしあと



「…………これ。」

「……私の(根性で履いているデザイン性100点機能性0点の)
 靴の跡じゃない………よね?」




砂浜にそれを見つけたのは、ほんのささやかな偶然だった。
じぶん以外にも人がいるのかもしれない…!

あの日。
だいすきなお買い物の帰りに
電車でうとうとして…
気が付いたらこんなところに来ていたけれど。

このひとはどうなんだろう?
どうしてこんなところにいるんだろう?
どんなひとなんだろう?

なんて疑問はつきなくて。


砂浜に残るあしあとの隣に
そっとじぶんの足を並べてみる。
───私よりも大きい感じかな?


(いつか出会えるといいなあ…。)


それまでは、このあしあとを、心の支えにがんばろう。



…………

……なんて思った矢先に雨で足跡がきれいに消えて
しょんぼりするオチがついたのは、余談です。