Eno.133 殺崎礼仁

■ 2日目・22時

調子に乗って木を切り倒したり魚を突き回したり蟹に水を掛けていたりしたらすぐに動けなくなった。
随分と消耗が早いような気がする。未開の地というのはこんなにも動きづらいものなのか。

立って喋る獣の方、悪魔と名乗る赤肌や獣毛の方。人以外の生き物も多く、ファンタジーの世界に迷い込んだみたいだ。
ある種の幻覚や蜃気楼、あるいは夢のようなものだと思うことにしたが……多少無理があるような気もする。あるいは本当にファンタジーの世界なのかもしれない。
最近はそういうのも流行っているようだし。

喉の乾きが酷く、言葉を発するだけで痛みを感じるほどにまでなっていたのだが、以前に水を掛けた蟹に雨水を恵んでもらい命を繋いだ。
便宜上蟹と書いているが、あれは何なのだろう。脳に直接語りかけられた気もしたし、そういう魔物的なやつなのだろうか。

その身に刃物を通せばどのような感触なのだろうか。