Eno.207 南波リスコ

■ 眠るたいりょくもない

体力自慢がとりえだったのに、
スタミナも底を尽きて、誰かが作った拠点でじっとしている。

この大きな島では、みんな資源が足りない。
何かを欲っする顔の見えない相手とやりとりをした。

文字で書いてきた。
もしかしたら、声が出せない人なのかも。

水分不足で倒れた小学生もいた。
子どもにこの環境は険しすぎる。


わたし、しっかりしなきゃな。

何のためにボクシング始めたんだって話だ。
強くなるためでしょ。
そでしょ。

浜辺で出会った飛ぶカニとサクライという女は余裕がありそうに見えた。
そういうふうに、見えてるだけかもしんない。


真水をくれたしっぽのきれいなカミサマ、
気づいたら周りにいなくて、魚渡しそびれたな。

マネキンなんかより、食べ物をしゃぶってほしいよ。
それともカミサマにとっては、ヒト型が食べ物なのかな。


飛ぶカニも、カニ型のものは食べないと言っていた。
わたしの考える「食べ物」の基準とは違うのかも。



わたしも誰かの食糧なのかも。

…………。
(棒線で消した跡)


やめよ。

みんなで生き残れればいい話だ。





ねむれないのは、結構しんどいな。