Eno.478 リーフェ

■ 一日目:無人島ファッションショー

海に住む人魚は、海藻や貝殻なんかを使って服を作るらしい。旅の途中で出会った商人にそんな話を聞いたリーフェは、居てもたってもいられずに海に飛び出した。

夢中で海の中の素材を拾い集めて、滴る海水もそのままにバッグに詰め込んでいく。頭の中は新しい素材で作る服のことでいっぱいだった。だから、いつのまにか波の引く強さが変わっていたことにも気付かなかった。

ずるりと足を滑らせたかと思えば、そのまま引っ張られて沖の方へ。泳げないリーフェは海の中。

(あ~~っ、せめて人魚に……新しく考えた服を試着してほしいのに……この海藻のスカートだけでも~~!!)



海中に沈んでも、やっぱり考えるのは服のこと。
そして目を覚まして、砂浜と、海と、燦々に照りつける太陽と、緑豊かだが建物の見当たらない島を目の当たりにして──

「サバイバルに適した服を考えるっていうのも面白いかも」



やっぱり呑気に服のことを考えていた。
この先に何が待ち受けているのか、生きて帰れるかはさておいて。まずは面白そうな服の素材を見つけに現地調査だ!