Eno.38 白恋たると

■ 意志疎通

 
今頃元気にしているだろうかと、
想いを馳せる相手はわたしには居ない。

わたしの事を心配する人が居るかどうかは……
わからない。

サイトの管理人として、或いは皆を導く神様として。
顔が見えない不特定多数から、無責任で曖昧に求められる事は慣れている。

けれど、本当のわたしの事を深く知る人なんて
この世の何処にも存在しないのだ。

「(姿を見せていないのだから……
 当然ではあるけれど)」



この島に流れ着いてから、今までに見た事の無い不思議な人たちと出会った。
人、と形容して良いのかはわからないけれど。

誰かと他愛もない日常会話をしたり、道具や食べ物を分け合うのなんて久しぶりで……
下手したら初めてかもしれない。

借りた寝袋の中で過ごす夜は居心地が悪くて、寂しくて、
それと同時にひどく温かかった。
目を瞑ったまま、少しだけ泣いてしまった。