Eno.83 なにかの群

■ なにかと便箋

砂浜に小瓶が流れ着いている。

群れの一匹がそれを拾い、口を開けて中身を取り出した。
手紙のようだった。
どうやら、潮の満ち引きによって、この島はいずれ沈んでしまうようだ。

群れの中には水の中で息の続くものもいたけれど、
すべてではないし、海水の中で生き続けられるものといえば、
ほんの一匹もいなかった。

この島に住み着くことはできないようだ。

群は生き延びなくてはならない。
それぞれが、それぞれの存在を保ちながら、
元いた島国に戻らなくてはならない。

幾多の生物がそうであるように、それらもまた、
生まれた場所で生き続けることを是としている。