Eno.140 月白色の科学者

■ 俺の友達へ

やあ、君。
こちらは無事、バカンス先にたどり着いたよ。
君と過ごすあの邸宅での日々も休暇のようなものだけれど、
ここでの体験はまた趣が違って興味深い。

久しぶりに人間の成人男性をやっているが、極限状況だ。

1日目から参り始めた漂流者もいるし、
俺の身体にも結構な負担がかかっている。
果たして何日持つかの演算結果は――
さて、ここに記すより、帰ってから直接君に話したいな。

俺がそのまま帰るか、俺の死体を抱えて帰るか。
土産話は楽しみにしていてくれていいよ。