■ 少年の記憶──02(2DAY)
サバイバル生活2日目の朝も目覚めは森の中。
快適とはいえないながらも昨日よりは休眠がとれた……気はする。
でも相変わらず腹は空いてるし喉もからっからだ。
なんとか食いつないではいるが、冗談抜きでやばい。
満足に食えないというのは成長期の少年には非常に厳しい環境だ。
けど、まだまだ死ぬ気はしない。案外何とかなるもんだな。
……あ。ミコが言うにはオレらもう死んでるんだったか。
そうそう、ここは"現実"ではないはずだ。
おばけもいるしな。ミケなんてネコ耳生えてるんだぜ。アレどーなってんだろ。
もしかしたらまだ誰かいたりもするかもしれないぞ。
少しでも渇きを紛らわせるために何かを腹にいれないと。
──少年は、朝露に濡れた草を踏みしめ森の中を進む。
湿度は相変わらず高くうっとうしいが日はまだ浅い。さわさわと温い風が木々を揺らしている。
気持ち清涼感を得られているようで悪くない気分だ。
ふと、なんとなく巨木の前で足が止まる。目線の先は──その根本。
「おはよー……、」
己でもよくわからない方向に向かって朝の挨拶をしてみるも、その先は詰って思うように声が続かなかった。
そういえば、この森には花畑のようなところはあるだろうか。
なぜかわからないけれどそこにも挨拶しておきたい気がする。なんでかな。
まあ、夢だからなんでもいいっか。
だって思い出せないんだ。
──…ズキズキとどこかが痛む……