■ プロローグ
「…………エーン……」
島のとある浜辺、流れ着いたハーピーはすすり泣いていた。
なんでこんなことに。思いながら記憶をたぐり寄せる。
いつもと変わらない日。調達した食べ物を持って、
陸と陸のあいだ……海の上空を飛んで、私たちの家に帰る途中。
突然、後ろから物凄い轟音に襲われた。
もともと些細なことにもびっくりしてしまう性格なため、
長く飛行する日は天気などの状態に気を付けていた。
今日は何も問題はないはず……だった。
何が起きたの?耳が痛い。知らない音。どこから?
怖い。どうしよう。怖いよ、お姉ちゃん……!
えっと、まず、振り向いて確認…………あれ?
そういえば、いま、飛んで―――
海に落ちる衝撃を最後に、記憶は途切れている。
「………のど、かわいたな……」
怖いけど、ずっとこのままでもいられない。
震える身体を奮い立たせて、歩き出した。