■ 記録006
[罵倒]なんてこった、晴れてる!
私自身の考えの甘さを思い知った……昔からそうだな。
「若葉君。あなたはいつもそうね、『そうであってほしい』という願望にすぐ流される。」
「現実世界に『ストーリー』は無いの、現実は無感情、結果だけが淡々と示される。」
希望的観測は、自分だけでなく他人も危険に晒す。だからこそ私は、重要な仕事を任せられず、閑職に追いやられていたというのに……。
恐竜型生物の集団は、食料、水、燃料の役割分担が完成したように見えた。
区別のために、私は色名で呼び分けることにする。
巨大人間型実体や半人間型実体達の協力もあり、拠点はうまく稼働しているように見える。
彷徨い歩いている人物が助けを求めてきても、積極的に助けられるだろう。
それに、さらに良い知らせもある。
朝、死にかけていた人物が、ゆっくり休めてかなり回復したようだ。
……死を覚悟していたようだった。しかし、皆の協力で死の淵から戻ってきた。
非常に良い事だ。「自分の尽力で、誰かが助かった」これが目に見えると士気が高まる。
ただ気がかりも出来た。
ヴェロキラプトルの一匹が咥えて持ってきた物品だが、ナイフや火打ち石等の必需品が混じっていたようだ。
一体どこから持ってきたんだ……? もしかすると、その持ち主はもう……。