Eno.41 カーシー・バクスター

■ 島に来て……何度目の夜だっけ?

なんか、サバイバルじゃなくてキャンプみたいになっちゃってる。
最初はつらかった移動にも慣れてきたし、
道具も揃ってるし拠点もある。

木材は十分だし、レイコがお水を用意してくれるし。
あれもこれもってひとりで頑張ってた時とくらべて、
自分の役割が決まってからずっと楽になった気がする。

木材を作るのも、アイジロが協力してくれるって言うし……
僕もまだまだがんばるつもりだけどね。

もうすこし水を作ったりしたいんだけど、
森林を探索しているとプラ材が手に入らない。
無理にプラ材を手に入れて蒸留して……ってするくらいなら、
移動せずに木材を探していたほうがいいみたい。

このあたりが楽なのって、やっぱり作業を分担しているからこそだよね。
もっと考えて、もっと楽にできたらいいなって思う。

学校じゃこんなことは習わなかった。
安全が確保されている間は、こういうのを勉強するいい機会なのかも……
そう思ってしまうほど、このサバイバルは安心に満ちている。

きっとみんなのおかげだな。
もっと殺伐としていたら、耐えられなかったかもしれない。

元の世界に帰っても、みんなと遊べたらいいのに……
その時はキャンプ……じゃなくてサバイバルとは違って、
街で買い物をしたり、バカンスしたりするんだ。
お風呂だってドラム缶じゃなくて温泉に入りたい。
それで、魚もいい魚を食べるんだ。

たくさん友達が増えたって聞いたら、
お母さんとお父さん、喜んでくれるかな?
みんなと別れる日が来るのは嫌だけど、
帰りたいって気持ちも嘘じゃない……。
いまは、無事に過ごすのが仕事だ。きっと。

そろそろ、島を脱出する方法にめどがたつといいけど……。
イカダだけだと少し不安だものね。