Eno.166 佐藤羽理生

■ 誰かの靴跡

島を歩き回るうち、思っていたよりも体力を使ってしまっていたらしい。
喉はからからで、腹も減った。
吉野家の牛丼が食べたい。
てりやきマックバーガー食べたい。
ガストのチーズインハンバーグたべたい。
ミスドのハニーチュロたべたい。
ココイチカレーたべたい。
サイゼのミラノ風ドリア食べたい。
ケンタッキー食べたい。
食べたい……

いつの間にか浜辺と森林の真ん中で倒れてしまっていたらしい。

この島は、ぼく以外の誰かがいる。
浜辺の書き文字を思い出し、ふらふらとそこに向かった。
そこにはなんと、おいしい水、焼き魚(でかい)が置かれていたんだ。
なにもできないぼくに、貴重な食料を分けてくれた。
ぼく以外のだれか。

手がかりの足跡、砂浜の筆跡はこの雨で流れてしまった。
だから僕はもう少し、砂浜にいようと思う。