Eno.292 バニティと『自我』の魔女

■ ~回想~

 これは、童女と幼児が島に流れ着いた直後の話。

ううん……

 童女が島の浜辺に打ち上げられています。

む?

 ぱちり。目を覚ましました。

ここは どこだ?

 童女は首をかしげて、何をしていたのか思い出そうとします。

えっと うみで あそんでた
そしたら なみ ざっぱーん して えーっと

……ながされた みたい?

 大変。元いた場所からはずいぶんと離れて、友達ともはぐれてしまったみたいです。

おきた

 そこに、童女よりも小さい子がやってきました。

む? だれだ?

じが

じが か わたしの ことは バニティ と よぶがいい

 童女と幼児はお互いに名前を名乗ります。

バニティ

そうだ
うーん そうだな

 童女はきょろきょろと周りを見回しました。

いわゆる むじんとう かな?

むじんとう

 幼児は無人島を知らないみたいです。

うん ひとが いない しま
ごはんも ねるところも じぶんで なんとか する

たいへん

うん たいへん

 ここで、童女はピンとひらめきました。

そうだ いっしょに いるか?

いる

じゃあ いよう


 ということで、童女と幼児は一緒にいることにしたのでした。