Eno.186 幻夢の囚われ少年

■ 少年の記憶──04(3DAY)

 
サバイバル3日目の目覚めも森の中──の拠点。だろう。
本当はあの巨木の元で野宿でもしようかと考えていたのに、雨が降ったせいで地面がずぶぬれで断念したからだ。
雨が止んだあとも雲が陰り続けて月も星空も満足には見えなかった。

そして、きっと起きだすのは遅い時間帯。
昨夜はついつい話し込んで夜更かしをしてしまったから。
12歳の少年が過す時の使い方ではないけれど、今は誰にも咎められることはないからいいのだ。
誰かと一緒にいれるのは楽しいし、夜の探索はわくわくする。

ココは"あの世"でこれは"夢"で、数日後には船が通るらしい。
それに乗ればきっと目標達成で目が覚めるんだ。"現実"に戻る。
乗れなかったとしても、自分たちで船を作ってしまえばいいだろ。自力で脱出上等だ!
そんな感じ。


────そうだよな?


おばけにミコ、ミケ。
彼らと対話していると、とても夢の住人とは思えないほどの存在に感じる。
夢の中で数日間を過ごすというのも珍しい気がするし、空腹感に疲労感も半端ないほど圧し掛かってくる。

なんだこれ。将来カッコいい男になるための試練の願望ってやつか?
ミステリアスな過去があるほうがイケてる気するもんな。うんうん。

まあでも、『おもたい罪のきもち』を知るのはまだオレには早いと思うんだ。
ミコのおかしなイメトレに付き合うのはまた今度、ってことで……うん。

おばけに言われたアノ言葉。
靄がかかってた記憶のピースの一つが突然はまった感覚だった。
これについて思索するのは起きてからにしよう。
今はもう眠りたい……

……ああ、そーいえば、月も星空も見えなかった気がしてたけど、
岩場から砂浜へと向かう途中で短い間だけ雲間から少しだけ見えた、気がする、な──……