Eno.457 ???

■ ニンゲンのハナシ

私の中のニンゲンの思い出と言えば、アレである。

──そいつは、ホントー?のでっかいガッコー?で
海の生き物の研究をしているのだと言っていた。
危険な生物とイシソツー?を図ろうとする変人だと、
向こうでは仲間外れにされていたそうだ。
ニンゲンがニンゲンと仲良くできないなんて、変なヤツだ。

そのニンゲンは私に毎日色々な事を教えてくれた。
言葉に読み書き、今まで食べた事のなかったモノが意外とウマいこと。

……お腹が空いて食べ物も見つからない時は、ちょっと吸わせてもくれた。


「キミは……見た目もどんどんニンゲンらしくなっているし、
 頭の固い教授なんかよりよほど話も弾むようになった!

 私は一旦帰るけど、必ずまたここに来るよ。
 今度は研究対象としてではなく、一人の大切な友人に会いに……ね」


1日待った。


3日待った。


11日待った。


9807日待って……そういえば、9999日の次は何になるのか、まだ教えてもらっていない。

こちらから見に行こうと海に出てみたら、
流されて知らないシマにナガサれてしまった。
そういえば私は泳げないのだ。

このシマにはガッコーは無いし、あのニンゲンの住んでいた所ではなさそうだ。


……このシマには、何人かのニンゲンが居た。
ここに住んでいる訳ではなく、このニンゲン達もここへナガサれて来たらしい。
ニンゲンなのに間抜けな奴らだ。


私を切ったり潰したりしようとしてくる女。
割とイイ奴で、干からびている時に水をくれた。 しゃぶると怒るが、美味い。

皆に水を配ったりしている、泳ぐのが好きだと言う女。
私に対する攻撃性は低い。 しゃぶると結構美味く、ちょっと嬉しそうだ(主観)。

私に対する攻撃性がやや高い男。
私の様な生き物を見ればその様な反応をする方が普通なのだろう、
別に悪いヤツではないのかもしれない。 しゃぶったら多分怒る。

なんかふわふわした女。ふわふわしている割に気持ちデカい。
デカい生き物は強いから、強いのかもしれない。 しゃぶった事はないが、
茹でた汁を飲んだら悪くない味がした。

いつも草を食ってる……食ってる……何だろう。
ニンゲンじゃないらしいのでしゃぶっていない。食わず嫌いはいけないだろうか。


他にもちゃんと話した事のない冒険家?や他のニンゲンも何人か居る。
色々な事があるが、毎日が楽しい。

アイツ達はそう思っていないかも知れないが、
私はアイツ達が好きだ。良き友人でありたいと思う

でも、どうやらアイツ達は自分の住んでいた所に帰る為に、
このシマからは出ていきたいらしい。

そうしたら、あのニンゲンの様に会えなくなるのだろう。


……イヤだ、イヤだな。
どうすれば私はニンゲン達と一緒に居られるだろうか?
もっと勉強すればいいのか。いっそ手足でももぎ取って出られなくしてしまうのが良いのか。


誰か、教えて欲しい。