Eno.29 ハク・エセルバート

■ 3日目②『異世界のこと』


好きな場所に行けばいい…か。
簡単に言ってくれるじゃないか。
というか、別世界に行くなんて考えてもみなかった。


『なんで元の世界にだけしか行く道がないんだ?』


何故なら、答えは単純。
怖いからに決まっている。

家族、友達、バック(支援者)が居ない中で未知の世界に飛び込むという行為は、心を強くしていく必要がある。
それに、その世界の常識も知らないんだ。怖くて当たり前でしょ。

魔法が存在しない世界で、魔法が使えるってことは、それだけで異質だ。
周りからの奇異の視線に耐えられるほど俺は強くないし。
それだけならまだしも、人間から糾弾されて排除されることだってあるかもしれない。


怖い。
だから、この島に居ることを望んでいる。



…でも、ああ…そっか。
俺は今、“魔法が使えない世界に行くことを前提”に考えてるのか。
あー……。クソ。





…まあいいや。
見た感じ、みんなの世界像はこんな感じかな。

まいまい・ななち・くっしー
→服の雰囲気が似てるし、同じ、もしくは類似している世界の可能性。魔法は存在せず、スマホという小型の箱が普及しているっぽい。

プラシオちゃん・リーさん
→微妙なところ。プラシオちゃんは人間かどうか微妙になってきたし、リーさんは精霊や妖精の存在を知ってる。それぞれ、異世界から来てる可能性が高そう。

シリウスさん
→分からん。分からないけど、人の言葉を理解していそうだから、何かしらあるんだろ。あんまり深く考えるのはやめよう。



まあ、じゃあとりあえずは。
……スマホの使い方。教えてもらおっかな。


-3日目② 日記終-


「つーか、俺、ちゃんと魔法使えっかなア……。
つまんない!って言われたら、マジ死ねるんですけど…」