Eno.88 テセウス

■ 雑記

何処を見渡しても目に入ってくるのは見慣れない極彩色の自然と、刻一刻と色を変えていく空。
あの何処までも続く汚濁まみれの海と、水面に突き出た鉄錆に覆われた廃墟の群れと、酸性雨を垂れ流す赤銅色の曇り空とは大違いだ。

慣れない場所ではあるが、汚水をなんとか冷却水として使える水にして取り込むのも、とりあえず目に付いた有機物を燃料にしてみるのも今までの生活と何にも変わらないのが救いか。
そうだ、やっている事は今までと変わらない。

なのに人との交流が断たれた時、私は何故かほんの少し…小さな空虚感らしきものを覚えた。

拠点で休んだだけで特に何もしていないから、特筆すべき事はそれだけだ。