Eno.218 八〇七番

■ 記録

この島には、僕の他にも何人か「ひと」がいる。
僕と同じような姿のひとに、獣のような姿のひと。
それから、人魚のひとがいる。

他の「ひと」たちとは言葉が通じた一方、人魚のひととは意思疎通が難しいかと思ったが、徐々に、こちらの言葉を覚えてくれているようだ。
少し、話をしてみたところ、どうも、おさかなさん、と呼んでほしいらしい。
だから僕は彼女をおさかなさんと呼んでいる。

しかし、僕が頼りないからなのか、餌付けをされている、ような、気がする。
起きた時に頭を撫でられていたのは流石にものすごくびっくりした。
一体どういう心境だったのだろう。僕には理解できない。

ただ、ひと(人間ではないが……)に、理由もなく触れられるのは、あまりにも久しぶりで。
……僕は、たぶん、とても変な顔をしていたと思う。