Eno.224 ナンナ•セファレイエ

■ これは幻……?

空は曇ってるだけなのに、なんかすっごい嵐の中歩いてるような感じがするの!
なかなかうまく歩けなくって、うーん……足腰は鍛えてるのに、こんなにうまく歩けないって、何か不思議な力でもこの島には働いているのかしら?
つまり、今見ているのは全部幻で、朝釣れたお魚も実は夢で、さっき釣ったお魚も夢……?

うわああああああああん! 考え出したらすっごく怖くなってきちゃったわ!
考えちゃダメよ、こういうことは!
うん、ちゃんと味がするもの、お水も美味しいし、これは現実よ。
そう……無人島に飛ばされたのも現実……夢じゃないの。

はあああああああ……せっかく家族揃ってのマテ貝掘りだったのに。
パパはこーしゃく様のお仕事でなかなか休みを取れないし、ママは冒険に行ったりでお家にいないことも結構あるし、おにーちゃんは叔父さんのところで修行に行ってたり……イナはお城に居るけど、身体が弱いしで外出なんてあんまりできないし、あたし自身も剣の修行に行ったりで居ない……だからほんと、すっごい楽しみだったのよ?
それなのに、魔法を暴発させて無人島でサバイバルって……流石のあたしでも凹むわよ。
まあ、凹んでめそめそして(飛ばされてすぐはめそめそしてたような気もするけど気のせいよ!!)立ち止まるのも性に合わないから、みんなが休みの間になんとしてでも帰ってやるんだから!

そろそろ木がまた心許なくなってきたのだけど、この嵐の中だとチックとかにも会えそうにないわね……。
嵐が収まるまで自分で取りに行くしかなさそうね……これは……。
もう少し、お魚ストックしたら久しぶりに森に行こうかしら。