Eno.283 トゥル

■ 島の中のシマ

この地に辿り着いて3日。
動物性の栄養は未だ不足気味であったが、それでも少女の生活は満ち足りていた。


森に建てた小屋を拠点とし、時折浜や岩場を探索する

得たもの全てを持ち帰り用途不明な物も含めて並べ、つついたりして遊ぶ

飽きたらひと眠りする前に少しの食事をし、次の行動に備えて休息しておく


概ねこのサイクルで過ごして尚、生活に余裕ができるほどである。


島の探索中、時折他の住民の気配を感じることがあったが、今のところ一度も出会ったことが無く
以前暮らしていた部族の村のように、縄張りの概念があるのだろうという解釈が少女の中に生じていた

このような考えにより建てられたのが森の中に佇む巨大な石像だ。



縄張りを主張する権力の象徴――というほどの縄張り意識は無く、実際は単に表札のような物だが。