Eno.190 贖罪のインディゴ

■ DAY 3




この島にやってくる1週間前。
私たちふたりは小舟に乗って海に出た。
それも、大人たちの目をぬすんで、夜中にこっそりと。

来年、流刑がなくなるまでに罪人が生まれる可能性はきっとすくないから。
私たちは未来に期待しないで、今をえらぶことにした。


 「ほんとうにいいの?」


 「最果てに着いたら、もう帰れないよ」



最果てをめざす船旅のために、おたがい持ってきたものはほんの少し。

時計と鏡と日記、着てきた服。
それと、あの子が持ってきたクッキー缶があった。

「海の上で食べたら、きっとピクニックみたいで楽しいよ」なんて。




飲み水はなかった。




あの子は、海水を飲めると思ってた。
私は、知ってて言わなかった。









「最果てに行こう、なんて」


「あの子をそそのかした私は重罪人かな?」


迷いが生まれたら、鏡を見る。
私の中で決まっている大事なルール。























でも、鏡の中の私はもう返事をしない。
きっと、もう答えが出てるからなんだろうな。