Eno.331 アイジロ

■ 7 一息

蒸し暑いし見渡す限りの海
もしかしたら、と思ってはいたけどどす黒い雲が見えた
しばらくは外に出ないでいようとみんなで決めて、すこしして
思った通り、今までで一番激しい……スコールと言ってもいいくらいの悪天候になった。
大きい雨粒が叩きつけてくるだけでも痛いのに、風で色んな方向から、時には落ちてたものさえぶつけてくる。
少し前も見えなくなるし、地面もぬかるむ。
せっかくうまくやれてるのにこんな時に無理して怪我でもしたら笑えない。
幸い飲める水も焼き魚もある。
壁の向こうの風の音を聞きながら、焚き火だけが明るい小屋の中、休める限り休んだ。

起きたら濡れた地面や折れた枝はあったけど、太陽が見えた。
また少しずつ、この島で生きるためのことをする。


……ミソニのことは、やっぱり本人と話したほうがいいと思う。
でもまだ少し早い気がする。
潮が満ちるか、船が通るか、
どっちにしても気づいてすぐどうにかなることじゃないと思う。
その前には話したいけど、ひとり焦って変だとか怖いと思われたら元も子もない。
そもそもここに残してるのも全部俺の考えの中から出ないもの。
元の世界の暮らしとか、本人が話してくれるのを待ちたいけれど……
多分夜に話したかった話題はこれだ。
カーシーもレイコもワサワサも。3人(?)の世界の話も聞いてみたい。

そんなことを考えてたら薪を作りすぎた。
まとめたりしてるうちに終わりそうだ。


戻ってきたカーシーが濾過したけどちょっとまだ怪しい水をもっときれいにできる方法を見つけた。
これでまた一つ飲み水のあてができた。
針と布があるのでレイコの服を縫いたいとも言っている。
破れたところの繕いくらいは俺でもできるけれどそこまではできない。
すごいな、本当に。

罠には鳥がかかっていたのでちょっとワイルドに焼いてレイコに渡した。
口に合うといいのだけれど。

……まだ少し眠い。
依頼を完遂して久し振りのベッドで眠った朝みたい。
漂流してるはずなのにな