Eno.68 觥 美鳥

■ 社務記録01

「どこ、ここ…。」


辺りを見回しても、波の音。
南国かなぁ…おかしいなぁ…晩御飯のお買い物に出掛けたハズなのに…。

「えっと…あの…どこ…?」


同じ事しか言って無い気がする。
なんで山の中の村から、浜辺に辿り着いたんだろう。

「わたし…そこまで迷子、酷くなかったと思う…。」


迷子にも、限度があると思うの。

「えっと…携帯電話……あ、圏外…。」


「眼鏡は…つけてる…。割れたりしてないよね…?」


「…割れてない…後は…あっ、お財布……あっ、ない…。」


(※ 後日、そもそも家に忘れて出かけてただけであった事が判明する。)

「どこ、ここ…。」


「コタローちゃん、たすけて…。」


遠く求めた助けの返答は、繰り返す波の音だけだった。