■ 4 ねこねこお薬大事件
最初に気が付いたのは誰だろう。
長いネコさんの体力が減っているようだ、と。
倉庫に一つ応急手当セットがあるから使ってもらおうと思った。
それだけだったのに。
病院に行ってるって気づいた犬や猫が落ち込んだ顔をするっていうのはよく聞く話だけど
ネコさんはしゃべるし伸びるので、ものすごい逃げて。
元気になってほしいのは本当なのに、無理矢理するのもよくないって気もして、
どうしたらいいかわからなくなって、すね……うん、私、すねちゃった。
それで小屋を出たけど周りは真っ暗で、ものを探しに行くわけじゃないのに入るのは怖くて
結局小屋のそばで外の風を浴びていた。
ぬるくてしっとりした微妙な風。空も曇っていて月さえ見えない。
ムキになっちゃったけど、みんなに元気でいてほしかった。
その前に賽の河原とかの話をしてたから、余計にそう思っちゃった。
寿命の前に自分で終わらせるのはもったいないし、周りの人が悲しむこと。
それはわかる。
じゃあ寿命が短かったら?
やっぱり、悲しい。
すごく悲しい。
悲しかった。
入院してからどんどんお父さんは瘦せていって
お化粧をしてもらったり、ほほがふっくらみえるように、とかなんかいろいろしてもらっていたけれど、
海で浮き輪のひもを引いてくれていた時のお父さんとは、全然違う顔だった。
お別れだからちゃんと見て、って言われても、お父さんの顔を思い出すときにその顔を思い出すことになるのが怖くて、
泣いて、泣いて、顔の見えないところから色んな思い出を入れさせてもらった。
だから、間に合ううちに治療をしてほしかったんだけど
それは私のわがままで
結局小屋にいたみんなに気を遣わせちゃったり、嫌な空気にしちゃったりして
本当に、恥ずかしい。
私が子供だからかな、とか、みんなみたいに大人だったらもっと上手にできたかな、って思ってたけど、
頭が電話の軍人さんが大人で軍人でも恥ずかしいことはある、って話をしてくれて。
ネコさんも薬を飲んでくれて。
メグルさんやサートさん、イヴァーナさんたちが優しくしてくれて。
やっぱり、みんな元気でこの島を出ていきたい。
でも勝手にムキになってすねてお化けと間違えてって……本当に恥ずかしい…