Eno.597 鉄原すばる

■ 猪突猛進って

イノシシは何を考えてるんだろ。

罠に掛かったときは?
山道を引き摺られてるときは?
最後に私と目が合ったときは?
きっと、すごくすごく痛かったろうなあ。

私、頭も目もぐるぐるしてた。

お母さんが作ってくれた肉じゃがとか、
お父さんが買ってきてくれた焼き鶏とか、
弟が平らげた私のへたくそな唐揚げとか。

放課後に寄り道して食べたハンバーガーとか、
大好きな俳優が褒めてたサラダチキンとか、
今の今まで忘れてた小学校の食育の授業とか。

いろんなことがぐるぐるして、
ぐるぐるしてないと、呑み込まれそうで。

料理でも鉛筆削りのためでもないナイフを持った私は、
イノシシみたいだったと思うの。