Eno.139 薄井すもも

■ ひみつきち

何も無かった砂浜に火が灯る。もふもふの少女が熾した焚き火だ。
明りに近寄った子供は蒸留器も貸してもらい、真水を作る。
自分もいろいろ作りたいと意気込む子供。
安全な水で喉を潤したあと、たくさん必要になるであろう木を集めるため森へと向かった。

森に付いた途端、さまざまな木の実に目を奪われ、拾ったはしから齧りつく。
すっぱいもの、辛いもの、栄養になりそうなもの。
甘い香りがするものの食べられない草に嚙みついて渋い顔をつくり、ようやく目的を思い出した子供は石の斧を手に木に登り、枝を落としていく。

そのうちの大きな枝を赤い髪の少年に渡したところ、さっそく活用して安全な拠点を作ってくれた。
親切な少年は拠点の名付けを子供に譲ってくれる。
みんなの『ひみつきち』ができた。