Eno.108 アノーヴァ・ピィヴァル

■ 《6: アノーヴァ・ピィヴァルの日記 - 初めての夜》

たった一日で色々なことがあった。
人魚の子、サメーンさん、リーバさん、それと氷の手足を持つ人との出会い。他にも……

夜の闇と、しんしんと降る雨。
こういう時は自分のことに意識が向いてしまって……記憶を思い出そうとする。
……思い出さなくてはいけないけど、思い出したくない気もする。
でも、そういうわけにはいかない……この島を生きて出られたとして、オルタナリアに帰れるかどうかわからないとしても。

タカアキ……私を氷の迷宮から連れ出した、勇者の一人。
今の所、最近のことではっきりと思い出せるのは、あの子のことだけ。

草花のことが大好きなタカアキは、勇者としての力もまた植物を操るものだった。
物知りで、知識に飢えている子だった。私もそういうところがあるから、少し共感した。

彼は……オルタナリアの危機に際して、私を必要として……

……その危機とは、なんだったのだろう……。