Eno.389 イワシ

■ イワシ4

無名の島に雨季がやってきました。
いえ、雨季かどうかはわかんないです。ただ、いきものたちにとって待望の雨であることに違いありません。

イワシの群れはどうしているでしょう。
あのカツオと海鳥に挟まれてモササウルスに群れの大多数をおやつにされた群れです。

彼らは死んではいませんでした。

散り散りになって逃げたあと、再び合流してちからを溜め、また元の規模までその数を増やしていたのです。

手痛い敗北を経験し、丸まってかたまるだけでは何も護れないことを知ったイワシたち。
今後はまず魚鱗の陣で手堅く守りをかため、鋒矢の陣で敵方を食い破ることで活路を見出だす方針に舵を切ったようです。
ですが鋒矢の陣は突破力に秀でる反面、包囲戦に弱く、側面を突かれると脆い陣形です。
この欠点をどう補っていくかが彼らにとって課題となっていくでしょう。

海の中で暮らすイワシたちにとっても、雨は天の恵みです。

雨水は島の地面に浸透し野山にたっぷりとたくわえられた土の栄養分が川を下り海へと流れて込みます。

海水と混じり合った栄養分は海洋性プランクトンによって分解、吸収されます。森の栄養分を吸ったプランクトンは広く海面を覆うように増殖します。
これが小魚たちにとって格好の餌場となるのです。