Eno.215 ウィンブルーム・モーゼル

■ 【演目:三十五少年少女漂流譚】

(書きかけで没になった演劇部の台本のページの一部だ……)

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まず、神は知的生命体を創造した。そして次にこう言った。
『サラマンダーの光あれ』

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灯台を建築し、最上階から遠くを眺めるシーン。
どこまでも海が続いていて、雲一つない晴れの模様が残酷に視える。
そして、仲間が果敢にも脱出を試みて波に吞まれるのを見てしまう。
ブルームは改めて自分達が大自然に翻弄されている事を痛感する。

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暫く意識を自らの奥底に沈め、休息をとるシーン。
キャンプでは働き者のブルームだが、それは生きるため皆の為である。
一人は皆の為に、皆は一人の為に。

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キャンプの仲間の作った新たな収納に感銘を受けるシーン。
やはりこういった厳しい状況でも、人目を惹く文明的な収納、デザインは
士気高揚にも役立つのだとブルームは自らの感情を以て学ぶのである。
そして収納という概念に閃きを得るのであった。

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(手書きのメモが書かれている…)

『携帯作業台付きのリュックサックを試作した。まだ実地運用できず。
 戸狩サンを始めとする、木材調達班の負担を減らしたい……。
 そういう思いでいた所、津雲クンの製造した収納の実用性、そして
 言葉には出さないが恐らくは趣味も入った美に感銘を受けた。
 道具とは実用的なものほど武骨であることが多い。だが、中には
 「美」や「製造者の拘り(趣味、趣向、造詣……意思)」が込められ
 そして使い手に感銘を与えるものもある。』

『灯台を建てた時、テントと同じように作業ができれば、または……
 「この収納を持ち運べるクラスの利便性」があれば。
 そんな事を薄ぼんやり考えていた事もあり、このリュックサックを
 試作している。……戸狩サンたちが使う事を考えれば、ショルダー部分
 ここを少々改良し「ソリ」のように変形させて運用できないか……。
 試作品ではあるが、頑張りたい。テントの拡充は充分だ、次は個人個人の
 装備の充実化、そして生活用の罠や設備の充足化。これが目下の目標になる。』

『誰も役立っていないなんてことはない。
 然し、時は金なり。金……つまりは希少な資源、時間という限られた資源を
 どのように使うのか……修学旅行とはいえ、頭を使うのは学校行事と言える。
 鉄原サンや縞三八サン、金剛院サンに小林サン、円山サンに志摩サン、
 七海サンに丁サン、西木サンに赤座サン……。

 クラスメイトの女子でもしっかり使えるように、リュックサックを実用化しよう』

『ウィンブルーム、勝利のホウキであれ……。』