■ 誰かさんの記憶:森と獣
にいさんに、おはなししたんだ。
たたかうのはいやだ、にいさんだったらいいのにって。
……そしたら、おまじないを おしえてくれた。
ぼくのいえの りょーちにある もり。おくにすすむと いずみがあって、そこに せいれいたちが いるんだって。
まんげつのよるに だれにもみられずに たどりつけば、ねがいを かなえてくれるんだって。
ぼくは さっそくじっこうした。
もりのなかは しょーきがこくて まじゅうがでやすい。
でも、ぼくのいえの りょーちだから、しんせきの ほかの「きし」さんたちが やっつけてくれてるはず!
まじゅつのせんせーが おしえてくれた、けはいをけす まじゅつで、おうちのもんばんさんも とっぱできた!
ひとりでこっそり おでかけするのって すごくわくわくする!
まるで かぜになったみたい!
もりにたどりついて、おくへ、おくへすすんで
ぼくはまじゅうにたべられてしまいました。
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「私のせい?妄言もいい加減にしろ」
「幼い子に身隠しの魔術を教える杜撰さ!
彼自身に向き合わなかった教育者!
『■■の■』としての責任を押し付ける無責任!
何より──当家の騎士が対処すべきあの森の魔獣を放置した怠慢!!」
「あなた方があの子を殺したんだ!!」
「弟を……■■■を返してくれ!!」
──────
ごめんね、にいさん。
ずっと、しっと、してたんだよね。
にいさんは、ほこりたかい「きし」になりたかったから。
いちばんつよくて、かっこいいひとになりたかったから。
なのに、ぼくが、『■■の■』だから。
にいさんがひっしに どりょくしても、とどかないような、かみさまのごかごを うけてしまったから。
だから、ためしたんだよね。ぼくがいきてかえれるか。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ぼくは、かっこよくて やさしい にいさんのことがだいすきでした。
にいさんが ぼくのことだいすきで、だけど くるしかったことも しっていました。
ごめんなさい。
にいさんとぼくが ぎゃくならよかったのに。