■ 或る明け方の、夢
ボクはカラッポだ。
シマから出られた後のことなんて、何も考えていなかった。
故郷に残してきた人もいないし、故郷での生きがいもない。
ボクの居た世界には、人間はほとんど居ない。
科学技術と魔術の発展により、環境が破壊し尽くされて、人間が住むのは難しくなってしまった。
耐えられなくなった人間は、人形の素体に魂を移して、人形として生活するようになった。
ボクの世界の人形は、子を成すことができる。
実のところ、今ボクの世界で生きている人形達は、さいしょの人形の子孫達だ。
……というのは、ボクの世界のジョーシキだ。
じゃあ、ボクは何者なんだろう?
人形のような気がするし、人間の生き残りであるような気もする。
両親が誰で、何番シェルターに居て、そこで何をしていた?
思い出せないのではなく、最初から存在しない記憶だ。
このシマから出られたとき、会いたい人も、やりたいことも、そういえば無い、なぁ……
このシマの皆を見ていると、そんなことを考えてしまう。