Eno.666 ラザル

■ 破棄された手紙

君へ。

元気だろうか? 

なんで何通も手紙を書いてるんだって?
……暇なんだよ……やることなくてさ。

いや……やることはいっぱいありすぎるんだけど待機時間が長い。
具体的に何をしてるかっていうと、ひたすら魚が釣り針にかかるのを待ってる。
食糧を確保しないと、生き延びられないからな。

暇ついでにルディの話でも書こうと思う。
この前の手紙に書いた『異種族』だ。

ルディは『天使』と呼ばれる種族らしい。
見た目は東大陸にいる有翼人みたいで、頭上に輪(どのようについてるのかはわからない)。
人間の信仰の力で生まれ、神様の力で生きる存在なんだそうだ。
――嘘みたいな話みたいだろ? 
でも僕らの世界に魔法があるのが当然なのと同じように、ルディの世界はそれが当然らしいんだ。

世界――そう、この島は複数の世界の中間地帯にある。多分。
『世界を渡る門』の向こうには世界を構成する法則が違う場所があるって聞いてたけど、実際に来てみるとなんていうか……普通だな……。
居る人は興味深いけど。島自体は普通の小島にしか思えない。今のところは。

閑話休題。

で、話の続きだけど。
ルディさんは何が目的とか知らされないまま、上司から『人間のことを学んでこい』って島に送られてきたそうだ。
困るよな、そういうの。すごく同情した。
話を聞いてたら、『知識』と『感情』の二つを学べば良いんじゃないかと思ったんだけど……でもさ。

感情ってどう学ぶんだ? 僕たちはどうやって感情を学んだんだ?

感じた時の共通項を挙げることは出来る。
その時のイメージを違う事に例えることは出来る。
経験の積み重ねであるというのは確実だ。
でも、

(手紙はここで途切れ、そのあとには文章になっていない文章が書き散らされている)

言葉 感情の分類 感情を動かす魔法との関連性
オリジナリティのある積み重ね、こそが
ひとつに絞ること



そもそも内側から沸き立つもの それを知らない存在に感情は学べるのか?