■ それだけのことさ
(おれ知ってる!この字、テツって読むんでしょ!)
その日から、私はテツと呼ばれるようになった。
幼稚園の頃から男の子たちに交じって遊んでいたし、
早熟な女の子の輪は居心地が悪かったから、
私はその呼び名をごく自然に受け入れた。
けれど言うまでもなく、私たちは変わっていく。
身長も体格も、声も、腕力も、足の速さも。
あいつら好き合ってるって揶揄われて、
何かがぎこちなくなったのはいつだったかな。
男になりたいわけじゃない。
女の自覚がないわけじゃない。
あるべき区別と慎みを備えたままに、
ずっと友達で居たいだけ。
だから誰もが活躍するチャンスを秘めたこの場所が、
何の含みもないフラットさでテツと呼ばれ直すことが、
私にはすっごく嬉しいんだ。